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Daily life and records | episode 2

皆さんは、日常生活でカメラを使用していますか?

「カメラを持っていても、1年に1回も使わない人が約4割」という衝撃的なデータがあります。

参照:消えゆく「カメラ」…「カメラを持っていても1年に1回も使わない」人が約4割

私たちkyuは、これを「カメラ産業の課題」として捉え、日常と記録をシームレスにする方法を日々模索しています。

 

そんな中で生まれたのが、kyuのカメラバッグ「daypack」です。普段使いしやすいシンプルなデザインと革新的なカメラスリーブが特徴で、カメラを日常に持ち出すために開発されました。

そこで今回のepisodeでは、daypackのデザインや完成に至るまでの道のりを振り返り、本製品を通して実現したいビジョンを共有させて頂きます。

 

1. カメラバッグの機能

ほしいカメラバッグがない

「日常使いできるカメラバッグがない…。」

そんな身近な想いから、「daypack」の開発は始まりました。

従来のカメラバッグが日常使いしづらい理由は、大きく2つあります。

1つめはバッグの見た目。カメラバッグ特有のゴツゴツとした硬いフォルムは、日常生活で使いたくなるものではありません。

2つめは機能過多なデザイン。ベルクロ(マジックテープ)付きの硬い仕切りで覆われたカメラ収納スペースは、日用品を持ち運ぶのには不便です。

この2つの課題を解決することが、今回のプロジェクトのミッションでした。

 

カメラを持ち運びたくなるように

 

カメラを保護するための機能を追い求めた結果、硬い仕切りとゴツゴツしたフォルムがカメラバッグの当たり前になりました。

もちろんカメラを保護することは必要ですが、カメラバッグの本質的な機能は「カメラを持ち運ぶこと」です。

だからこそ、私たちはカメラバッグの原点に立ち返り、「日常にシンプルなカメラバッグを」というコンセプトのもと、カメラを持ち運びたくなるようなバッグを追求しました。 

 

2. デザイン

今回のプロジェクトでは、シンプルで美しい外観と日常での使い勝手を向上させるデザインが求められました。

しかし、究極的には「日常的にカメラを持ち運んでもらう」ことがゴールであり、「カメラを使って記録を残す体験」をつくることこそが、デザインの本質だと考えました。

人とカメラの関係を徹底的に観察し、プロトタイプで体験と議論を繰り返すことで、本当の意味でシンプルなデザインに辿り着くことができました。

今回は、その一部をお話しいたします。

 

シンプルな外観

外観はバックパックらしいシンプルな砲弾型のシルエットを採用しました。そこにアーチを描くように続くメインジッパーがアイコニックです。

サイズ感はカメラとPCを入れる分全体的に大きめにしていますが、大きさを感じづらいよう前面は曲面で構成しております。

日常使いしやすい上部ポケットと PCポケットを搭載し、それ以外の要素はすべて削ぎ落としたシンプルなデザインに仕上がりました。

またカメラバッグ特有のゴツゴツ感をなくすため、強度と柔らかさを兼ね備えた新しい生地を採用し、幅広いシーンでご利用いただけます。

 

取り出しやすさの追求

daypackのサイドアクセスはとても快適です。サイドアクセスとは、側面からモ ノを取り出せる仕様で、バックパックを地面に下ろさずカメラなどの出し入れを行うことができます。

ジッパーの引き手が底面側にあることで、利き手で内側から外側に向かって引くことができます。さらにジッパーのルートが直線に近いため、自然な動きで開閉することが可能です。

ジッパーは、最も滑りの良いYKKビスロン®︎ファスナーを採用し、極限までスムーズな開閉体験を実現しました。

ここまで取り出しやすさにこだわったのは、速写性を極限まで向上させたいからです。心が動いた瞬間にカメラをすぐに取り出してほしいという想いから、一連の動作全てをシームレスに行えるよう丁寧にデザインしました。

 

4D-Pocket

daypackにおいて、最も革新的な箇所がカメラ収納部です。

通常のカメラバッグは「硬い仕切り板」が使われるのに対し、kyuのバックパックでは「柔らかい布で包む」という従来とは真逆のアプローチを行いました。

名付けて4D-Pocket。某ネコ型ロボットのひみつ道具のように、なんでもしまえるような柔軟性を目指しました。

この構造を説明する前に、従来の構造の問題点をお伝えします。

従来のカメラバッグは、ベルクロ式の仕切り板をベリベリと組み変えてカメラスペースを構築します。一見フレキシブルですが、使ってみるとあまり快適とは言えず、カメラ機材以外の日用品の収納には最適化されておりません。

そこで生まれたのが4D-Pocket です。伸縮性のある生地を採用し、カメラのサイズや向きに関わらず収納することができます。

カメラを入れていない際はフラットになるため、衣服などの日用品を入れても邪魔になりません。カメラが宙吊りになり地面に直当たりせず、伸縮性生地が伸びて衝撃を和らげるため、バッグを置いた時の衝撃にも強いです。

 

細部へのこだわり

背負い心地にも自信があります。カメラとPCを運搬しても疲れづらいよう、ショルダーハーネスは厚みと幅を十分に持たせています。これはアウトドアのバックパックを数多く観察し、適切なプロポーションを割り出しました。

上部の小物用ポケットは大容量で、電車移動などで胸の前で抱えるシーンを想定した使い勝手も考慮しています。

両サイド内側の隠しポケットは、鍵や財布をスムーズに取り出すことができたり、失くしがちなレンズキャップの収納できたりと、日常使いに便利です。

奇を衒わず、細部まで日常に溶け込めるような在り方を目指しました。

 

デザインの最適解

daypackがこのデザインに決まったのは2022年の4月のことです。

ここに至るまで計4種類のデザインを検討し、その全てがボツになっています。どれも悪いデザインではなく、全てその当時の最適解でした。

内側でテントのように展開するカメラスペースの案、カメラ収納をバッグインバッグにして保管から持ち出しをスムーズにする案など、様々な方向性を検討しました。

どれも従来のカメラバッグからアップデートはなされましたが、既存の延長線上であることに変わりはありませんでした。

抜本的な革新を求めて試行錯誤を繰り返した結果、今までで一番シンプルなデザインに辿り着きました。少ない要素で構成されていますが、このデザインは単純な引き算では導き出せません。

人とモノの関係を考え続け、本当に大切な要素を掛け合わせたのが現在のデザインです。

 

3. 記録を残すこと

「人類の記憶を美しく」、これはkyuが掲げるビジョンです。

daypackを開発した目的は、日常的にカメラを持ち運び記録を残してもらうことであり、その記録の積み重ねがkyuのビジョンへつながると信じています。

kyu daypackと共に、記憶に残る毎日をお楽しみください。

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